セレブ熱唱の『Carpool Karaoke』が全米で大ブーム 日本仕様の“karaoke”が生んだヒットの要因

マドンナやスティービー・ワンダー、ジャスティン・ビーバーなど大物アーティストたちがこぞって出演する番組『Carpool Karaoke』が全米で大反響を巻き起こしている。

アメリカCBSの深夜番組『The Late Late Show』のコーナーで、放送後には、YouTubeで公開。「Rolling In The Deep」で知られるグラミー賞受賞歌手・アデルの出演回は、14900万回以上の再生回数を記録し、昨年の「YouTube Rewind 2016」(YouTube発表の世界動画ランキング)で1位に輝いたほどだ。

日本発祥のカラオケが“Karaoke”として世界的に人気なのは知られているが、思わぬ形で“逆輸入”され、新たなKaraokeブーム到来の可能性も感じさせる勢いだ。

車内ならではの“希少性”で『Karaoke』番組が一大ブームに

Carpool」は「相乗り」を意味し、「相乗りカラオケ」のタイトル通り、同番組はMCであるイギリス出身の俳優でコメディアンのジェームズ・コーデンが運転する車に、毎回超大物アーティストが乗車。無駄話でリラックスしつつ、カーオーディオから流れる“Karaoke”をバックにアーティストが車内で歌いまくるというもの。

 

マドンナは自身の代表曲である「Vogue」を歌いながら、狭い車内で踊り、片足を天井まで上げるという高度なパフォーマンスを披露。「Bitch I’m Madonna」歌唱時に至ってはヒップを突き出して、腰を激しくグラインドさせるという官能的な熱演を見せた。

一方、レッド・ホット・チリ・ペッパーズはメンバー4人が乗車。途中、車外に出てボーカルのアンソニーとMCのジェームズがレスリングをするなど自由なドライブを楽しみ、「The Zephyr Song」を歌いながら、上半身裸になって、まさに“裸の付き合い”で熱唱する場面も。そして「By The Way」ではビートに合わせて車内を叩きまくるなど車の中で大暴れをぶちかました。

自身の楽曲ではなく、ほかのアーティストのヒット曲を歌い上げるケースも多く、“この番組でしか見られない”という希少性もこの番組の大きな見どころ。

アデルは幼い頃にまねして遊んでいたスパイス・ガールズの「Wannabe」を熱唱。また、ブルーノ・マーズは4歳の時から歌っていたというエルヴィス・プレスリーの「監獄ロック」を歌うなど各アーティストの“ルーツ”とも言える曲を歌うことで、人柄までも垣間見えてくる。

それぞれがカメラを意識せずに、心から楽しんで歌っている様子は、もはや言語を超えて楽しめる番組となっている。車内という密室空間のシチュエーションとジェームズが作り出すリラックスムードは、まさに“カラオケボックス”のようなプライベート空間となり、各アーティストの気分も高揚。カチッとしたライブイベントなどでは決して見ることができない素の姿を見せる “レア度”の高い楽曲披露が魅力なのだ。

“カラオケ”と“Karaoke”の違いとは?

世界共通言語となっているKaraoke。だが、日本におけるカラオケと海外でのKaraokeでは、少々スタンスが異なるようだ。

日本では防音施設が整った個室型のカラオケボックスに行き、仲間同士で楽しむのが一般的。一方、欧米にはその文化がまだあまり広まっておらず、パブやバーなどに設置されたカラオケ機で、他の客も交えて歌うようなケースが多く、他人が見ることも想定してのショー的な楽しみ方となっており、それぞれのお国柄も反映されている様子。

だがそれゆえ、欧米では他の客から歌声が“騒音”被害を招くなどもトラブルもあり、2008年にイギリス政府が2500人以上の成人を対象に行った「最も重要と思いつつも最も不快に感じる電子機器」の調査では、カラオケが携帯電話などを抑えて1位となったこともあった。そんな影響からかイギリスでは高級カラオケボックス「ラッキー・ヴォイス」が生まれるなど個室で歌うことへのニーズが高まっている。今回の『Carpool Karaoke』の人気もそんな車の中というパーソナル・スペースで歌うことへの欲求が具現化した形とも言える。

実は日本的な“カラオケの概念”がヒットの要因となった『Carpool Karaoke』

Carpool Karaoke』のヒットの要因を探ると、実は海外の“Karaoke”ではなく、日本的な“カラオケ”の概念がヒットの要因となっている。車中という“個室空間”からくる開放感、気の置けない友人(ジェームズ・コーデン)との会話、そんなリラックスムードから生まれるセレブたちの“想定外”の熱唱サービス……まさにこれは、擬似カラオケボックスからでしか生まれない化学反応といえる。

つまり、『Carpool Karaoke』の人気を支えているのは日本的な“カラオケ”文化なのだ。カメラを意識させない雰囲気作りは一種、”盗撮”的でもあるが、日本の人気番組『ニンゲン観察バラエティ モニタリング!』(TBS系)同様に、そういったプライベート空間ならではの人気タレントの“素”を、全世界が共通して見たいと思っているのだ。

 

今後、日本でも『Carpool Karaoke』のようなフォーマットが“逆輸入”されて放送される可能性は高い。通常の音楽番組では、アーティスト側からNGが出されてしまうことも、『Carpool Karaoke』のフォーマットならば、“その場のノリ”でOKとなる可能性が高いゆえ、新たな音楽バラエティのファーマットとして重宝されるかもしれない。

その場合、重要なのがMCの存在だ。予想してみるならば、好感度が高く、かつあまり音楽業界に染まっていない著名人としては大泉洋、音楽に造詣が深くノリノリで楽しんでくれそうな藤井隆、近年はDJ活動なども行いダンスも得意なナインティナイン・岡村隆史などが候補だろうか。

さらにこの番組がここまで人気となったのはやはり、番組放送後、YouTubeで公式に公開されているという点。『Carpool Karaoke』のフォーマットは、iPhoneシリーズのApple社が昨年6月に同企画をApple Musicで放映する権利を取得したと発表。ウィル・スミス、メタリカ、アリシア・キーズ、アリアナ・グランデなどの出演回をApple Musicオンリーで放送することになっている。アメリカの地上波からYouTube、そしてさらにApple Music独自コンテンツとして“Karaoke”の勢いはさらに加速していきそうだ。

 

 

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